今回は、問題行動への対処方法について、書いていきたいと思います。
前回の内容では、発達障害や問題行動の原因が、
本人の自由意志にではなく、脳機能の問題にあることを確認し、
柔軟な認知をしながら、対処方法を考えていくことが、問題行動へのアプローチになります。
と述べました。
今回は、問題行動へのアプローチの具体例を確認してみましょう。
〇行動分析学(ABC分析)
心理学の分野に、行動分析学という領域があります。
行動分析学では、人間の行動を環境との相互作用として捉える機能分析を行います。
機能分析は、ABC分析ともいいます。
理由は、人間行動を時系列で三分割した際に、それらの頭文字がABCになるからです。
時系列 A→B→C
Antecedent 先行事象
Behavior 問題行動
Consequence 後続事象
ここで、特に注目すべきは、C 後続事象です。
なぜなら、問題行動の意図は、後続事象に表れていることが多いからです。
問題行動の目的には、4つあるとされます。
①要求 ②回避 ③刺激 ④注目
人間の心は複雑だが、ここでは、ひとまず4つとして考えます。
①要求 欲しい→もらえる
②回避 苦痛なこと→やらなくてすむ
③刺激 快感が欲しい→すっきりする
④注目 こっちを見てほしい→見てもらえる
〇より望ましい代替手段
これら問題行動の4つの目的を踏まえて、
より望ましい代替手段を本人と共に案出することが、問題行動への対処法となります。
例として、「叫ぶ」という問題行動を考えてみましょう。
4つの目的から考えると、「叫ぶ」ことへの対処は、以下のようになります。
①要求 何が欲しいか指差してもらう。
②回避 課題を変更したり、難易度を下げる。
③刺激 大声を出してよい空間で叫ばせてあげる。
④注目 積極的に困りごとを聴き、困ったら手を上げるように伝える。
より望ましい代替手段には、唯一の解決法があるわけではなく、
本人の特性やその場の状況を踏まえる必要があります。
また、今回は問題行動の目的を4つとして考えましたが、
実際には、既述のように、人間の心は複雑であり、
行動の背景には、さまざまな意図があります。
大切なのは、行動の背景を想像し、
アプローチを工夫してみること、柔軟に視点を変えてみることです。
次回は、発達障害に対する支援の基本方針について書きたいと思います。
今回も読んでくださり、ありがとうございました。
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